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能で、信頼できる世界的、地域的な安全保障の枠組みを生み出さないだろう。アジア・太平洋においては、地域の安定が戦略的な日米安全保障同盟によって引き受けられてきたし、これからもそうし続けることは疑いない。日米同盟は近い将来、ARFがうまく機能するための背骨の役割を提供すると説明できる。
最後に、文化、価値、民族国家の多元性は、5大国が動かしている国連安保理と協力する形で地域レベルの安全保障に取り組むことができる見通しを増加させてきた。しかしながら、技術、科学の進歩は、核拡敵防止の問題と関連して、潜在的核保有国の数を増加させてきた。朝鮮半島の核疑惑の緊張を緩和するにあたっての「覇権国家」の決定的役割は、国際的、地域的安全保障での指導力発揮のための国際システムの必要性を象徴している。
結論として、アジアにおける地域安保の枠組みは統制、方向、実質、価値、目標、能力の点で国際システムと機能的に連結していると断言できる。ARFのような地域紛争解決機構を活性化する国際的枠組みは逆に、国際、地域安保を取り扱うための既存の国際機関から正統性を引き出す。現在、潜在的アジア安保の枠組みといえるARFの価値は信頼醸成能力にある。アジア人は徐々に制度化することを好む。長期的視点から物事を見るアジアの傾向からして、制度的成功のチャンスの大きい対話プロセスに力を注ぐだろう。ARFは安全保障問題の多国間協力の一つの層であり、ASEANや太平洋経済協力会議(PECC)、ASEAN戦略国際研究所(ASEAN−ISIS)、アジア太平洋安全保障協力会議(CSCAP)のような制度的あるいは非公式(NG0)のレベルを当てにしている。このように、地域紛争解決の見通しは、移行期とそれを越えて、緊張と軋櫟の問題とその地域をすばやく特定し、対処し、討議し、解決する地域的、国際的指導性の効力に直結している。

 

 

 

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